IT中間管理職からエグゼクティブへのプレゼン / Points of Presentation From an IT Middle Manager to Executives. |
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上に言えることは本当に1つだけ(エレベータートーク)
IT中間管理職がプレゼンで注目されるたった2つのポイントで”メッセージは一回のプレゼンで1つ”と強調しましたが、エグゼクティブへのプレゼンはこのポイントだけが強調されると言ってよいでしょう。公式のプレゼンでも、エレベータートーク(エレベーターでばったり会ったように機会をつくり、アピールする)でも、「アイツの言ってたxxxがあったな」とか「続きを聞いてやろうか」と思わせられれば”勝ち”です。エグゼクティブの印象に残せる言葉は1つだけです。キーワードを1つだけ持ちましょう。「”これだけだけできる”システム」とか「”お小遣いでできる”サービス」とかインパクトのある言葉は効果的です。小難しい言葉は逆効果です。中学生でもイメージできる単語を使ってキーワードを作りましょう。
結論から、単刀直入に
技術者は能書きやリスクから語ってしまいがちですが、ポイントは3つ。
- 結論から語る
- メリットを語る
- 情熱を持って語る
例えば
「今回のシステム開発は、新しい開発技法を取り入れて、従来の開発期間から20%短縮した提案をします」
などです。”つかみ”でこの2ポイントを押さえる必要があります。上層部への提案ではフォーマットやスキームが決まっていることがあります、資料では個人の裁量が入る余地が少ないかもしれません。それでも、最初の提案主旨などに一言いれるくらいは書き方があるでしょう。必ずこのポイントを押さえることです。せっかくの”つかみ”を
「今回はA社へのシステム導入提案です」
で済ませてしまうのは本当にもったいない話です。あなたが開発ラインの管理者なのではなく、企画に関係するIT管理職であればなおさらです。また、プレゼンする人が「これでいける」と思っていないものはどんなに取り繕っても伝わらないものです。ときにはリスクのある提案もありますが、リスクをとっても提案しようと腹に決めた以上はポジティブな言葉でメリットを説明しましょう。
資料でエグゼクティブを考えさせてはいけない
「この資料はですね」で始まるようなスライドを入れてはいけません、と分かってはいますがついつい細かい資料を入れたくなりますよね。私の経験から失敗が多いパターンは以下です。プレゼンを聞く相手が一見して理解できなければ資料としては意味がありません。
- 文字は大きく
Powerpointで12p以下の文字は注釈でも厳禁です。 - 色は少なく
基本白黒です。どうしても強調したいところだけ色をつけましょう。使うとしても濃淡の少ないパステルカラーで。 - 言葉は少なく
1ページに同じ言葉が複数回(2回以上)存在していれば、表現の冗長性を再確認すべきでしょう。言葉や図の配置を見直してみましょう。 - 配置に意味を持たせる
重ね描きをしない、図や表が複数あって配置に関連性が無い、といった意味をなさない説明を入れていませんか。システムと同じで資料も分かりやすいモジュールで構成されているべきです。
私の経験(悪い資料を直してみる)
恥ずかしいですが、私の昔の資料を悪い例として上記の方針で見直してみます。提案の中で、提案システムの金額感、規模感を説飯いた資料なのですが、数字は小さいし、何がポイントかわからないし、複数の資料を切って貼っただけの、やってつけ資料な感じ満載のスライドです。実際のプレゼンでは、それぞれの数字を説明しました。とても無駄な説明でした。改善後であれば、「トータルマージンはキープしました。それぞれのフェーズでの状況はご覧の通りです」で全て済みます。
- 改善ポイント1;一見して伝えたいメッセージが情報と連携して眼に入るようにいしています
- 改善ポイント2;情報の配置(上下、縦横、大きさ)に意味を持たせています
- 改善ポイント3;同じキーワードを出さないように配置しています
定型提案のポイント
システム開発、システムサービス提案のひな型におけるポイントです。定型のプレゼンでもこのポイントは注意しましょう。
- 提案主旨(案件名/提案元/顧客名/提案日付/提案スコープ/主旨概要など)
肝です。提案主旨をズバっとメッセージで書きましょう。 - 背景・目的・課題
目的がメッセージとリンクしていること。よく「どうやって売上を達成すべきか」といった趣旨になっている提案をみますが、「なぜ売上を伸ばさなければなならないか」等、本来の目的を見失わないこと。 - 顧客情報、マーケット
ステークホルダーを明確にして、メッセージを伝える相手を間違えないこと。 - 提案(システム)概要
シンプルに。エグゼクティブが知りたいのはやり方ではなく、期待される結果です。 - スケジュール
フェーズとアウトプットがわかるように。WBSの説明をしても無駄です。 - 見積り
手法、根拠、リスクを述べますが、複数の手法で確実に見積りしたというアピールが必要だと思います。 - 前提、制約条件
色々挙げたくなりますが、エグゼクティブにサポートして欲しいポイントに絞ります。 - 体制図
マーケット同様、ステークホルダーを明確にします。エグゼクティブに調整してもらうことで組める体制があり、それによって結果、効果が達成される、という言い方になるようにしましょう。 - 効果
メッセージの次に大切です。メッセージの中身として数字で”メッセージの強さ”と合わせ”決意”も語りましょう。自分自身の存在価値です。 - リスクと対策
条件同様、エグゼクティブに認知して欲しいリスク(コントロール、サポートして欲しいリスク)に絞ります。それ以外は自分の活動の中で対処します。 - 成果物一覧
坦々と。提案上、割愛できなくても、ここは強調する部分では無いです。
まとめ
管理職のプレゼンは資料作りが目的ではありません。万端の準備を、完璧な資料作りだと思っていませんか。エグゼクティブに”何を見せるか”ではなく”何を伝えるか”が中間管理職の役割です。資料は道具と思いましょう。
- 結論から語る
1つだけのキーワードでエグゼクティブに伝えるメッセージを語る - メリットを語る
エグゼクティブが聞きたいことを語る - 情熱を持って語る
プレゼンターである中間管理職自身が”良いもの”と信じて情熱的に語る
–10th Apr, 2016 / the 1st edition
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