IT中間管理職がアイデアを考えるときに / When IT Managers Can’t Think of Any Sensible Ideas. |
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中間管理職はアイデアも捻り出さなければならない
中間管理職は様々な業務、業態に関わります。技術者上がりの管理者はメソッドや知見に頼って事を進めたいところですが、アイデアは領域が異なるとなかなか思いつかない、提案できない状況に陥りがちです。それでも部下が困っているとき、上司から企画を指示されたときなど、切羽詰まった状況で”アイデアを出さなければ”ということが多いとです。。タイミングは人や環境によると私は思うのですが、考え方のヒントについて考えてみたいと思います。
新しいものをみつけるために、今あるもの=カポ・ダストロ・バーを見つけろ
とある事例です。ピアノ製造社があまりアピールしなかった「50年後に効いてくる”カポ・ダストロ・バー”」を見つけることで他メーカーとの差別化に成功する、という話。短いですが結構ドラマティックに書いてます。
アイデアを考え始める前に、できるだけの情報を集めることが肝心だ。
出典;ジャック・フォスター著「アイデアのヒント」(阪急コミュニケーションズ)ISBN;978-4484031019
「何かを考えろ」と漠然と言われることが中間管理職には本当に多いです。
漠然とした戦略や指示で仕事をしてませんか、という本質はありますが、現実として何とかしなければならない場面はあります。
無から有は生まれない
これも「アイデアのヒント」からです。
アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何物でもない。
出典;ジャック・フォスター著「アイデアのヒント」(阪急コミュニケーションズ)ISBN;978-4484031019
戦略やマーケティングは錬金術ではありません。
答えはこの世のどこかにあり、それを見つけられるかどうかなのです。
私の経験(グローバルな流通情報連携システム)
グローバルで複数の拠点にまたがる情報連携がある流通システムを構築していました。
拠点ごとに、業務も時間帯も、文化すら異なります。それまでは、メールや電話、FAXで情報を連携していました。
「ウチの引き合い番号が本社のどの番号にあたるかの一覧表を作ってくれ」
「どの画面を見れば今まで紙でみていた情報がわかるかが分かりやすいように画面を作ってくれ」
「そもそもxx拠点の管理のやり方が悪い」
などとユーザ部門内でさえ空中戦の様相でした。
そこで、ありきたりではありますが、新システムでは統一したキーで全ての処理を行うことにし、いつでもどこでも確認できる情報集約画面を1つ作ることにしました。
作る以上は徹底的にと、基本設計からグローバルでキーを一元化した情報集約画面へアクセスするAPIを設計し、全画面に情報連携を実装しました。運用面でも番号体系や旧番号との連携などをユーザと徹底的に論議しました。
連携が複雑になったので拠点の説得やコーディングに苦労した面もありましたが、結果的にそこそこのパフォーマンスで実装できました。
カポ・ダストロ・バーほど感動的ではないですが、世界中の拠点の要件を聞いて、
- 情報キーの翻訳をしている→同じキー情報があればいい
- 調べるのに時間がかかっている→1画面ですぐに検索できれば効率アップ
ということがわかったので、多少実装のハードルがあっても進めて、効果を出すことができました。業務の初期混乱やコードの追加実装もあったので、本社からの情報や、ユーザ企画部門の人の意見だけではコストや納期の関係で実装できなかったでしょう。必要な機能をフォーカスできた良い例だと思います。今でも一番使われていますし、このシステムの一番評価されている機能です。
知らないことは悪じゃない
IT業界はトレンドが急速に変わります。
情報取集を普段からしている前提だとしても、全ての領域のプロフェッショナルにはなれません。ましてや、ITマネージャーなどのシニアクラスになれば、その領域はITよりもビジネスプロセス寄りにスコープが寄ります。真っ白な紙に書き込んでいくようにプロセスや特徴、課題を吸い上げる事が必要です。
ユーザやクライアントを質問攻めにしましょう。ただし、その時に「こいつは何もわかっていない」と思われないようにすることは必要です。
とにかく情報をとことん詰め込み、潜在意識でも意識できるようしておくのです。そうすれば、あなたの他の情報や経験がそれを新しいアイデアに変えてくれます。普段の生活での何気ない動作や、道行く人の持ち物、新聞の広告の片隅にだってその要素はあるのです。
まとめ
とことん、聞きましょう。
聞くことは悪じゃない。
情報が新しいアイデアや戦略を作り出します。
– 29th Feb, 2016 / the 1st edition
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