中間管理職は論破してはいけない;会話のサブミッション / Middle Managers Should NOT be debaters. |
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「はい、論破」ではイイコトが無い
今回は”どうやって、部下やユーザを説得するか”というネタです。
昔は”論破”などとは言わなかったものですが、近年はよく聞きますね。特にネット上での意見、誹謗中傷の類に論破というキーワードをみるように思います。箸にも棒にも掛からぬ論理もあったりしますが、大抵は正論を掲げて「間違っていないけど、どうなんだろうね」という話が多いと感じます。
中間管理職は”論客”ではいけない
部下から相談や意見があった場合、なんらかのオブジェクションがあって、論破し、いわゆる”極めてしまう”状況になると、マネジメントパワーもあり、部下は何も言えなくなってしまったり、反感を買ってしまったりします。また、ユーザは”上から目線”のことが多いですから、やり込めると空気が悪くなりますね。中間管理職は上下の情報が集まるところでのコーディネーションが重要な役割だと私は思いますので、論客である必要は全くありません。むしろ、論客である部下やユーザをうまく動かし”仕向けさせる”ことが大切です。なので、言葉のやりとりの中で論破という”大技”を繰り出すことは無く、どちらかというと「いつの間にか決められていた」という、関節技のサブミッション的な極めが有効です。大会議やグループ内でのミーティングで吊し上げて「ハイ、わかりました」となることは決してないでしょう。
「逃げ、納得」からの共感
私も若いころは理屈を盾に色々な人に楯突いたり、武闘派と真っ向戦ったりしましたが、気が済んだことがあっても、良い結果になったことはあまりなかったと思います。その場で勝ったとしても、言われた方は納得しないし、酷いと根に持ったりされます。ぐうの音も出ないほどやっつけて、渋々やる場合もあるでしょうけれど、本来のパフォーマンスじゃなかったり、おかしい結果になったりしますよね。相手の言っていることがこちらの思っていることと違ったり、マネジメントの立場から是正しなければならない意見を部下が言っている時も、一度飲み込んで、相手の理論の”逃げ”や相手自身の”納得”をまずは得なければなりません。そうして共感を示した上で、相手をどうコントロールするか、という話になります。
共感からの仕向け(サーバント・マネジメント)
近年、ITの組織(特に大きい組織)では、分担が多様化、専門化し「お前がやらないのなら俺がやる」的なことは難しくなっています。やるべきこと、変えるべきこともITの現場よりユーザの現場にあることが多くなっており、やってもらう=仕向けることが重要です。専門家もユーザもプライドが高い場合が多いですから、ダイレクトに「やってくれ」では大抵は動きません。また、中間管理職がお願いする事は
- 今の業務に付加的に頼むこと(追加のヘルプや、業務外の検討など)
- 今の業務から変革を検討すること(新しいサービスや、業務プロセスの検討など)
になりますので、「あとはよろしく」とは絶対ならないですね。
”変えられるのは自分だけ”なので、自分から動くサーバント・マネジメントが有効です。
参考記事;チーム力を発揮する”サーバント・リーダーシップ”~IT中間管理職のイマドキ・リーダーシップ・スタイル
共感し、やってあげているようにみせて(実際、やりますが)、最終的には部下やユーザをあるべき方向に”仕向ける”というマネジメントが必要です。
「Yes, But」をうまくつかう
とはいえ、のべつ幕なしに「わかった、俺はお前のサーバント」なんて言ってられないですし、相手が武闘派なのか、草食系の部下なのか等で対応は全然違うと思います。正論で相手をやり込めないということ以外で一般論としては、
「NoではなくYes, But」
を使うというポイントがあります。相手が交渉相手でない限り、Noという強い言葉は使わず、Yesで飲み込み、Butで繋げるという論法です。
但し、ユーザとのやりとりでは中間管理職は説得役だけでなく、ネゴシエーターになる場合も多く、どのラインで切り替えるのか、という見極めは大切になってきますね。
まとめ
ポイントです。
- 論破して吊し上げても、伝えることはできない
- 共感して、結果的に仕向ける姿勢が重要
- 「Yes, But」をうまく使う
ただ、性格もありますから、いつも抱え込んだり、我慢して飲み込んだりはきついですよね。でも、年々、中間管理職の役割はそういった傾向になっているように感じますよ...。
– 6th Nov, 2016 / the 1st edition
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