IT中間管理職になって年上部下に手を焼いてないか / When IT Managers Have Trouble With an Elderly Staff. |
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年上の部下がついてしまった、しかもやりにくい(私の経験)
管理職になると年上部下がつくことは珍しくありません。ですが、誰にでも始めてはあるわけです(上司にも部下にも)。さらに、中間管理職となると”初めて管理職をやる上に、年上部下がついてしまった”なんてこともあります。私の場合、初めて管理職になったときに、複数人の年上部下が付き、全員にとって私が”初めての年上上司”でした。それはもうお互いに警戒心がとても高い状況でした。
まず相手を理解しよう、と思った(私の経験)
技術の世界では経験年数=技術レベルに近いと思います(一般論ですが)。なので、管理職になるまで、年上部下のことを考えたことがありませんでした。そこで話を聞いてみるとこんなタイプの人たちでした。
- 管理職に向いていない人
- 事務職、専門職に割り切った人
立場や経緯の違いはあれ、私は二極化すると思います。
2の人に関して、私は割り切った関係を持つようにします。年齢を考えると育成やマインドチェンジは極めて難しい。適正なスキルを適正なポジションで発揮してもらうのが良いと思います。もちろん管理者としてのケア(負荷や目標設定)は必要です。
難しいのは1の人で、自分より経験が(大抵は)長い分”管理職に向いていないだけで特定のスキルは非常に高い”場合がほとんどです。さらに
- 実際に年下上司が自分の上司になってしまったショック
- 年下上司には自分のような挫折感(管理職になれない)が理解されないと思っている
- 自分のこれまでの経験、成果が認められていないという不信感
から、警戒心が高く、話をするところからアプローチを考えなければいけませんでした。
年上部下と話をしてみた(俺なりのガイドライン)
俺なりの年上部下と話すときのガイドラインです。
- チームの役割を明確にした
チームメンバーのジョブ・ディスクリプションを明確にして、誰が何をやるのか、責任をどこまで負ってもらうのかをできるだけ明文化して、面接を実施して直接会話しました。これによって管理職からの期待値を宣言できると共に、年上部下の考えとのギャップが確認できます。また、チームとしての方向性=ビジョンも明確化できます。スキルのある人たちですから普通のメンバーよりよほど伝わりやすいです。但し、どこまで”熱く”語るかは距離感を考えてアプローチします。私の経験では”暑苦しい”と思われることも多かったです。 - トコトン話を聞く
この手の方々は話好きの人が多いですので、雑談から入っても話せます。但し、その際、人生の先輩であることを忘れないで話すことが大切です。年上部下は指示系統はあっても雑談やプライベートの領域に”上から目線”で入られることを極端に嫌います。また、失敗談を話して”イケイケの上司感”をできるだけ消すことも大切です。距離感を縮めましょう。管理者としての欠点を見せる方が関係は良くなると思います。 - 「あなただから」というアプローチ
年上部下に限ったことではないですが「あなただからお願いしている」というポイントは特に強調されるべきです。実際”とんがった”スキルを持っている人たちなので「そこを見込んでお願いします」という頼み方で動いてくれる人は本当に多かったです。また、「あなたにはベテランなりのキャリアパスがあり、一緒に考えていきましょう」ということも伝え、上司部下の関係でも認めていることを理解してもらいましょう。
それでも上手くいかないこともある
それでもこんな反応になってしまうことがあります。
- ガン無視
- 「今さら現場仕事をやれと言われても無理、新人じゃないんだから」と言われる
- 経験多く、泥臭いところはもうしたくないとレビューア→評家的な対応に終始する
- 本気を出せばやれるのに、やっても評価されないと問題解決や調整には一切動かない
そんなときの”二の手”のガイドラインです。
- メンツをつぶさない(人前で怒らない)
まずキレないこと。こちらだって管理職のプライドや立場がありますが、それ以上に年上部下は面子を大切にします。 - ポジティブな言葉で具体的な組織テーマの主体者になってもらう
これが一番肝です。いくらディスリスペクトされても、ネガティブワードを話してはいけません。バッドスパイラルに陥ります。「それではxxさんのスキルを活かして、これをお願いしたいのです」という流れを作ります - ロールを明確にする(権限付与する)
これは忘れがちです。ある程度の大きいテーマをお願いするわけですから、自チーム内の役割だけでなく、他部門や客先との調整に根回しは十分にしましょう。但し、年上部下の得意分野があるところは手を出さずに。 - 背中を任せる(手を出さない)
つまり、任せるスコープを決めて、合意形成をしたら”任せる勇気”を持つことです。元々そのギアが噛み合ってないからあなたの部下にその人はなったのです。信じて管理業務に集中します。但し、何かあったときの責任はやはり管理職がとるべきです。”何が起きてるか”を知るために普段の会話やフィードバックは他のメンバー以上に重要です。短くて良いのでこまめに会話をしましょう。
まとめ
まずは相手の立場を理解し、理解していること自体を年上部下と共有することが大切です。嫌みなく”尊重している”ことを伝えるのがポイント。その上で年上部下のスキルを活かした大きなテーマを持ってもらいましょう。一度任せたら背中を任せるつもりで。最低限の根回しをしたら、あとは定点観測に終始します。何かあったら年上部下であることに”逃げ”を作らずきっちり引責します。年上でも自分の大切な部下です。
– 13th Mar, 2016 / the 1st edition
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