IT中間管理職が使うパワーフレーズ / “A Power Phrase” Using IT Middle Manager |
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メッセージが伝わらない
”IT中間管理職からエグゼクティブへのプレゼン”、”IT中間管理職から部下へのプレゼン”で書きましたが、プレゼンでは資料や話よりも、”どんなメッセージを伝えるか”が一番大切です。聞いている側のときは「言ってることがわからないな」と思うことしきりですが、いざ自分が中間管理職になり、メッセージを伝えようとすると、なかなか伝わりません。
「バグを減らせ」、「品質を上げろ」、「売り上げ拡大」なんてことは皆わかっていることです。数字を出したところで、現場から見れば根拠として弱い動機付けになります。
プレゼンのテーマが伝わるパワーフレーズを使いましょう。
パワーフレーズってなんだ(俺なりのフレーズ)
色々な分野やプレゼンで使われているようですが、用法は曖昧です。一般的な言葉ではないと思います。私は
”伝えたいメッセージを短いフレーズにした印象に残る言葉”
と自分の中だけで定義しています。
自分のプレゼンの中で、
- 難しいことは言えない、言わない
- キャッチフレーズとして絞る
- プレゼンの中で繰り返す
- 経験に基づいた裏付けのある言葉を使う
というフレーズとして使っています。
「セキュリティを強化しろ」と言われても(私の経験)
自社内でセキュリティインシデント(システムへのクラッキング)が発生し、トップダウンで「セキュリティを強化しろ」というメッセージが発せられました。そのとき私はグループ内海外現地法人をサポートする部門の課長でした。これを受けて上下にメッセージを出さなければいけません。
安易に考えると以下のようなフレーズが無難です。
- 我々の施策でセキュリティ関係の施策を特に強化し加速してゆく
- セキュリティ状況を確認し、強化実施されたことを報告する
間違っていません。しかしこれで良いのでしょうか?
言われなくとも、セキュリティは強化しなければならないし、報告だって当たり前です。メッセージにしているようで、全く新しい情報を載せていないのです。
現場ではこんなことが起きていた(エンジニアは見た)
この時期に、とある現地法人を仮事務所から本事務所に切り替える、という対応がありました。その際、その現地法人のバイヤーは、部品のディーラーとskypeのチャットで頻繁にやりとりをして価格交渉をしていました。当時、skypeはファイル送信ができ、その内容にセキュリティ・チェックができないため、社内セキュリティポリシーとして禁止としていたたため、本事務所でグループ・ネットワークに接続するにあたり、skypeも禁止する御達しがでました。
反面、コスト削減、グローバル展開の指示も出ていたので、バイヤー達は猛反対。
私の部門はITの部門ですからセキュリティ強化がフォーカスされます。「とにかくskype禁止」で押し問答になってしまいました。
「セキュリティ強化策を加速する」
だけではこのようなことが起きてしまいます。
俺なりのパワーフレーズ
パワーフレーズを使ってみた事例です。
「タイムラインを決めます」
一見、総花的なトップダウンのフレーズにも見えます。
修辞疑問を使うとか、韻を踏むとか、世の中にはテクニックがあるようですが、私はパワーフレーズは上述のことを心がけています。もちろん、数字や細かいことは色々語りたくなりますが、そこは資料に少し書いてぐっと我慢です。
このフレーズに決めたのは、
- 「タイムラインに拘るからタスクを明確にしよう」
- 「タスクがが明確になるから、前提条件、制約条件、調整事項が明確になる」
- 「タイムラインが明確だから報告も明確になります」
と与えられた組織ミッションの指示や報告の枕詞に使えるからです。徹底的にこのフレーズを使いまくり、メンバーに植えつけました。
もともと私のプライム・スキルはプロジェクト・マネジメントですから、タイムマネジメントには自信がありました。部下からあがってくる相談では徹底的にタイムラインに拘り、進めるためのマネジメント調整や根回しは徹底的にやりました。
まとめ
いざ自分でやってみようとすると、なかなか難しく、過去に自分が聞いた上司からのプレゼンを模倣していることがあります。パワーフレーズを意識してみましょう。
- メッセージを伝えるために”パワーフレーズ”を使おう
- 伝えたい事はシンプルにする、細かいことは伝わらない
- 短いキャッチフレーズをパワーフレーズにする
- プレゼンの中でパワーフレーズを繰り返す
- 経験に基づいた裏付けのある言葉を使う
”自分の経験に基づいた言葉”は、かなり部下に響きます。部下に聞いてもらうためのパワーフレーズですが、一番は自分のチーム・ミッション達成であることを忘れないようにしてください。
以上
– 17th July, 2016 / the 1st edition
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