”なりたくなかった上司”になっていないか?~IT中間管理職からの指示”あるある” / Typical Stereotyped Instructions from IT Middle Managers. |
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”なりたくなかった上司”になっていないか?
”理想の上司”なんてのはなかなかいないものです。「自分だったらこうするのに」と思いながら仕事をしてきて、いざ自分が中間管理職になったら...。過去の上司が反面教師になっていない人は多いと思います。私もそうです。ついつい、同じことをやっていることがあります。そんな中間管理職が部下に指示をだすときの”あるある”ポイント3点です。
中間管理職が部下に指示を出すときに”やってしまう”こと
- 具体的なアクションをさせているか
経営層からのチャレンジがきつくて「とにかくやれ」になっていませんか。
戦略と数字を伝えただけで指示をだした気持ちになりがちです。 - いらぬ手出しをしていないか
「自分が手を出したら仕事がやりきれない」「部下を育成するため」という名目で何度も部下に資料の作り直しをさせていませんか。
資料だけでなく仕事の進め方についつい口を出してしまうのは、過去に自分が部下だったときに「必要以上の上司の干渉だ」と思ったことがあるはずです。 - リーダーシップを発揮しているか
頼みにくい仕事や扱いにくい部下をきちんとマネジメントしていますか。総花的な戦略を自チームのミッションに落とし込んでいますか。
中間管理職は経営と現場のパイプですから、リーダーシップを発揮する場ですが”右から左へ情報を渡すだけ”ということだけに終始していまいがちなことも多いです。
参考;IT中間管理職のリーダーシップタイプ
1.具体的なアクションをさせているか
今の中間管理職は経営層から厳しい成果を要求されます。大抵は現場の状況ではなく、市場や組織状況に基づいた定量的な目標が設定されます。つまり「xx億円売り上げろ」とか「顧客数を3倍にしろ」などです。これをそのまま「何とかしろ」などとは部下に言いませんよね。逆に「売り上げを上げるためのカタログを作成して飛び込み営業を100件やって1億円達成しろ」などは無理強い以外の何物でもありません。
中間管理職は戦略と戦術のパイプです。戦略が自社内でどのようにブレイクダウンされているかは把握している必要があります。その上で、自部門のミッションを落とし込みます。
私は自部門のミッションを考えるとき、以下のように分類しています。
- 管理者が自らやるタスク
- エース・メンバーに任せるタスク
- アベレージ・メンバーに依頼するタスク
- 優先度を下げるタスク
- 他部門と調整が必要なタスク
2.いらぬ手出しをしていないか
中間管理職には”プレイング・マネージャー”の振る舞いが求められます。だからといって、何から何まではできません。しかしながら技術屋あがりが多いIT中間管理職はついつい自分の手を出してしまいます。具体的なアクションかどうかは前述1)の通りですが、具体的なアクションや結果がイメージできているのに”伝え方が下手”な管理者が多いと思います。自分の中には明確なビジョンがあるのに、それが部下に伝わっていないため、結果に満足できなかったり、資料を何度も作り直させたりするのです。IT中間管理職は部下へどこまで具体的に指示すればいいのかでも語っていますが、私がいつも気を付けているポイントは以下の2点です。
- ゴールをきちんと共有しましょう
最終成果(何を、どこまで、だれに、いつまで)を共有しましょう。管理者は元々有能な人が多い上に情報量は部下より圧倒的に多いです。そのため最終成果=ゴールをかなり具体的にイメージできている場合が多いですが、部下は色々なスキル、経験の人がいますし、情報量が少ないです。そのため、ゴールのビジョンが見えずに仕事をしてあらぬ方向にいったり、戻り作業が増えたりします。延々と続く資料の作り直しキャッチボールは、この典型です。こういったロスは完全にマネジメントによるロスです。全体を鳥瞰した情報できちんと指示を与えましょう。 - 手段をどうするか必要に応じて指示しましょう
部下がエースなのか、新人(アベレージ・メンバー)なのかで手段の指示は異なります。テーマを与えて手段を考えてもらうエース・メンバーもいれば、具体的なやり方を指示、指導する必要があるアベレージ・メンバーもいます。やはりメンバーの作業ロスが無いようにマネジメントしなければいけません。忙しい管理者はテーマだけ振って「良きに計らえ」となりがちですが、部下がどんなプロセスで目標を達成するのか、そのプロセスで成長、スキルアップさせるよう、指示をだす場合もあります。これはいらぬ手出しではありません。
3.リーダーシップを発揮しているか
部下に指示を出すときに「部長が明日まで資料を作れと言ってるから頼めないか」などと指示していませんか?緊急事態はあると思いますが、毎度こんな感じで依頼される方の立場だとどうでしょう?自分自身もかつて”無茶振り”をされて憤った経験があるのではないでしょうか。管理者はマネジメント=管理をするべきで、ディスパッチ=仕事の割り当てをする人ではありません。
まして、近年はプレイング・マネージャー、サーバント・マネージャー等、現場寄りのマネジメントが求められています。体制のスリム化が進み、中間管理職の居場所は少なくなっていますが、経営と現場の両方の視点でマネジメントする必要があるのです。
- 納得感をもたせているか
なぜこのタスクがあるのか、いつまでなのか、どのように達成することを期待しているのかを説明し、部下が納得していることは大前提です。 - ”あなただから”と伝えているか
納得感と同時に”なぜ自分がこのタスクを遂行するのか”を部下に理解してもらう必要があります。実情は色々あるでしょうけれど、指示を与えるときには「あなたのスキルを活かして欲しい」「この経験でキャリアアップして欲しい」「あなただから頼める」といった動機付けが大切です。 - 上司としての覚悟があるか
指示を出しておいて「なぜできなかったのか」と部下を攻める上司はもはやパワハラ上司です。難しいタスクを指示する場合、リスクやマネジメント・パワーを使う調整は上司も一緒に背負うべきものです。振りっぱなしではなく、一緒にやり上司としての覚悟を持っていることを部下に理解してもらわなければリーダーとは言えないでしょう。
まとめ
中間管理職が部下に指示するときにやってしまいがちなポイント3点です。
- 具体的なアクションをさせているか
”全体を鳥瞰した情報”を提供し、指示を与えましょう。中間管理職は戦略と戦術のパイプです。戦略が部下のタスクと明確に紐づいている必要があります。
ミッションは以下のように分類しましょう。- 管理者が自らやるタスク
- エース・メンバーに任せるタスク
- アベレージ・メンバーに依頼するタスク
- 優先度を下げるタスク
- 他部門と調整が必要なタスク
- いらぬ手出しをしていないか
”明確なゴール”(何を、どこまで、だれに、いつまで)を共有することで、戻り作業をさせないようにしましょう。延々と続く資料の作り直しは、これらが共有できていない証拠です。
また、逆にに手段をどうするか必要に応じて指示し、部下がどんなプロセスで目標を達成するのか、そのプロセスで成長、スキルアップできるかを認識する場合もあります。 - リーダーシップを発揮しているか
納得感をもたせて指示をだしているか、”あなただから”と伝えているか、上司としての覚悟があるかがポイントです。結果として達成できなかったことにダメだしだけをする上司では部下は動きません。部門間調整の介入などリーダーシップを発揮して、きちんと動機付けをしましょう。
以上
– 15th Jyly, 2016 / the 1st edition
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