IT中間管理職は部下へどこまで具体的に指示すればいいのか / How Much IT Managers Should Give Instructions to Members.

   2016/07/21

  • トピック;抽象的な言葉ではメンバーは動かない
  • ポイント;どこまで言うかは別にして定量的ゴールはわかって言わないとだめ、メンバーの納得感を得る
  • 材料;メンバーの話を聞く、四隅を示させる、適切な権限と情報を与える
  • Topic; Members never take action from abstract instruction.
  • Points; Manager should instruct with their own quantitative goal and get agree with members.
  • Keywords; Hear voice of members. Let members point “Four-corners”. Give suitable commission and information.

「うまいことやっておいて」と言われてないか、言ってないか

予算策定の時期になると、
「売り上げが予算未達だ。達成するための施策を考えよ。」
なんてサラリーマンやっていれば何百回も聞く言葉ですよね。

他の会社、10年前でも通用するような公理では人は動かない。

出典;照屋華子・岡田恵子著「ロジカル・シンキング」(東洋経済新報社)ISBN;978-4492531129

つまり、
「当社の弱みをカバーした戦略を立案し、販促を加速する」
「トレンドであるxx領域に集中して成長路線を加速する」

などという話は一般論であり、指示でもなければ、戦略ですらないわけです。しかし、大抵は上位下達で
「数字がヤバいからなんとかしろ」
となります。

負の連鎖を止めろ(私の経験)

そうなると「あとはよろしく」の負の連鎖が発生します。
ロジカル・シンキングの観点からいうと、指示を受け取った時点で上司に定量的なゴールを確認すべきですが、経験上、ITの中間管理職にはそれが許されない場合が多いです。

  1. 専門職のリーダーなので”それを考えるのがお前の仕事”と言われる
  2. 業務や領域で”縦割り組織”になっていて「自分の事業部スコープで再検討しろ」と言われる
  3. そもそも事業部独立採算だから自部門で益を出す方法を考えろ

などとなります。これを止めるのも辛いですが、中間管理職たるITマネージャーの仕事になります。

指示を出す前に「俺なりの定量的ゴール」を持つ

やっぱりメンバーには定量的指示が必要です。もし、ゴールやビジョンが見えていなければ、それも必要です。こっちの方向にこれくらいの距離で全力疾走しろ、と言わなければベスト・パフォーマンスはでません。なので、自分なりの定量性を定量的ゴールで考えます。そして上司には打ち返します。打ち返し方は別の話として、腹を決めた定量的ゴールでメンバーには指示をするわけです。
「売り上げを上げろ」
と言われたら
「xx領域でxx億の売り上げをアップするために、xxサービスの拡大をxxまでに行いたい。最大投資をxx千万できるとして計画と効果額をxxまでに提案して欲しい」
くらいまで落とし込まなければなりません。そこではマネージャーの情報量と采配をフルに活かして落とし込むことになります。

タコツボを掘らせるな!

今度は定量的ゴールをメンバーに落とすのですが、最初から全部指示はしてはいけません。

憤(ふん)せずんば啓せず。非せずんば発せず。一隅を挙げて三偶を以て反(かえ)さざれば則ち 復(ま)たせざるなり

出典;論語

孔子の言葉ですが、ポイントを1つ教えれば残りがわかる人に全部教えるのはナンセンスです。逆に、わかる能力がない人に「察しろ」というのも無茶振りになります。なぜなら、みんなタコツボを掘りたいからです。自分のスコープを小さくして仕事量と責任を最小化し、成果(サラリー)を最大化させたいのです。そのため、メンバーのレベルをみて定量的ゴールを指示します。

背中を任せるために、話を聞いて、考えさせよう

さて、指示は出したものの”俺なりの定量的ゴール”があります。メンバーからはどんな反応があるでしょう?よほど革新的な反応でないかぎり、マネージャーであるあなたの定量的ゴールはブレないでしょう。ただし、メンバーに動いてもらうためには一度話を聞く必要があります。なぜなら納得しないとメンバーのベスト・パフォオーマンスはやはりでないからです。また、一隅を示して三隅までしか示せない場合もあります。足りない部分は、
「で、どうしたい?君の考えは?」
と聞かなくてはいけません。そこでメンバーは本当の力を振り絞って頭を回転させ始めるでしょう。

  1. マネージャーが話を聞く
  2. 足りてない部分を考えさせる
  3. マネージャーが考えていた定量ゴール(定量的ゴール)と一致する

で四隅を示させたことになり、メンバーの納得感も得られ、指示完了となります。やれやれ、お疲れ様でした。ただし、マネージャーはこれで部下に背中を任せて、自分は上司と指示の裏付けをしなくてはいけません。こちらも本業であることをお忘れなく...

権限や情報を与えよう

背中を任せること、タコツボを掘らせないために1つ重要なことがあります。
適切な権限や情報をメンバーに与えることです。”俺なりの定量的ゴール”はマネージャーであるあなたのスコープで成り立っています。大抵、メンバーのスコープはもっと狭いです。自分の視野でやることを考えていませんか?
「俺ならやれるのに、なぜアイツはできないんだ?」
という場合は大抵、権限や情報が足りていません。メンバー視線で情報を提供し、根回しもしましょう。また、余計な情報にフィルターをかけるのも管理職の仕事です。政治、派閥問題や、メンバーの能力を超えた権限付与は逆効果です。

まとめ

中間管理職は曖昧な指示の流れを具体化しなければならない辛い立場です。
しかしその分、情報も多く入ってきますし、色々な指示が出せます。
指示の流れのままに流されるのではなく、自分で流れを作り、下流をうまくメンバーに任せる仕組みをいつも考えましょう。

– 1st Mar, 2016 / the 1st edition

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